「非常事態宣言をしても解除すればまた元に戻ってしまう」
これはウソです。まず日本の1日あたりの新規患者の発生数の推移を見てみましょう。
これを見ると、3月末から4月にかけての第一波は、非常事態宣言によって5月末から6月にかけて一旦終息しかけました。しかし、非常事態宣言を解除することで、6月末から再び増加に転じ、第二波がやって来ました。患者数だけを見ると第二波の方がより多くの感染者数になっています。その為、一見すると非常事態宣言宣言は一時的に患者数を減らしただけにも見えます。しかしそうでしょうか。
次の図を見て下さい。これは日本の1日あたりの死者数の推移です。これを見ると、第一波より第二波の方が、死者数が相対的に減っていることが分かります。先ほどの図では第二波の方が1日あたりの感染者数は倍ぐらいありますが、死者数はほぼ同じか第二波の方がやや少ないと言えます。つまり、死亡率が低下していることが分かります。このことは第二波の方がより毒性の弱いウイルスが流行ったことが推測できます。
第一波の時のウイルスに比べて、第二波の時のウイルスの方が、死亡率が低いのはウイルスの毒性が低下したからと考えられます。もちろん、医療体制の整備や治療技術の向上も影響した可能性もあるかも分かりません。しかし、特別な新薬が出たわけではありませんし、日本の医療技術は当初から高い水準にあったと考えられますので、ウイルスの毒性が低下した可能性は否定できないと思います。
ではなぜウイルスの毒性が低下したかというと、非常事態宣言によってウイルスの生存が脅かされたため、別ブログ(新型コロナのウソとホントシリーズ④)で解説した通り、より生存に有利な毒性の弱いタイプのウイルスが非常事態宣言を生き延びたと推測されます。つまり、一度でもよいから厳しい感染対策を行ってウイルスの自然淘汰を促すことで、ただの風邪になってゆく過程を早めることができる可能性があります。一時は感染爆発を経験したイタリアでも、次第に弱毒化の傾向が見られると発現する医師も現れてきています。
逆に、全く感染対策を行わないと、ウイスルは自由に生存でき、毒性の強いものがいつまでも生存できる可能性が高まります。そのため、社会的には大きな犠牲を伴いますが、国を挙げて感染対策を行うことは決して無駄ではないのです。もちろん理想的には、有効なワクチンを開発してできるだけ多くの国民に接種して人為的に集団免疫を作り出し、ウイルスの感染拡大を、免疫力を持った人間の盾で防止することです。現在の世界のワクチン開発のペースから言うと、それは早くても来年(2021年)以降になると考えます。
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