「濃厚接触したらPCR検査を直ぐ受ければ感染の有無が分かる」
これはウソです。確かにPCR検査は感度の高い検査法です。例えば一度SARS2に感染して治って退院しても、一定期間PCRが陽性になることがあります。これは、PCR検査がSARS2の”死骸”に対しても反応してしまうほど感度が高いせいです。
しかし、PCRも万能ではなく、まだ感染して間がなく、鼻腔や口腔のウイルス量が少ない時期は陰性(偽陰性)に出ます。次の図を見て下さい。
横軸は濃厚接触してからの日数で、縦軸はPCR検査でSARS2に罹っているにも関わらずPCR検査が陰性に出てしまう(偽陰性)確率です。これで明らかなように、濃厚接触して感染しても、最初の3日間はほぼPCR検査は陰性のままです。SARS2に暴露されて5日経つことでようやくPCRが陽性に出る確率が50%を超え、1週間経つと70〜80%の人でPCRが陽性に転じます。つまり、PCRで信頼性のある結果を得るには、濃厚接触してから1週間程度経ってから検査する必要があるということです。そのため、濃厚接触して直ぐに検査を行って陰性であっても、安心はできません。逆に言えば、PCRで陽性と判明した時点で、既に感染してから1週間程度は経過している可能性が高いと言えます。
また、SARS2に暴露されてから3週間も経つと、三分の二の人は陰性に出ます。これはウイルス量が減っていることを意味します。これだけでCOVID-19が治っているかどうかは分かりませんが、SARS2に感染した後に軽快したとしても、PCRが陰性に転ずるにはかなりの日数が罹ることが分かります。一度、COVID-19に罹患すると、PCRが2回連続して陰性にならないと退院して社会復帰できないと思いますが、それにはかなりの日数が必要なことが分かります。