■クマの種類は主に3種類
クマとは目の下にできる影やクスミです。クマは原因や状態によって、「黒(影)クマ」「茶クマ」「青・赤クマ」の3種類に分けられます。それぞれのタイプに応じた対処法が必要になります。
1)黒(影)クマ
クマの中で一番頻度が多いのは、黒(影)クマです。その原因は主に3つです。
- 眼のクッションとなっている眼窩脂肪が前方に突出する。
- 皮膚・眼輪筋・眼窩隔膜がたるむ。
- 皮膚に段差が生じる。
詳しくは下記の記事を参照して下さい。
「男性の美容を真面目に考える④ 〜顔貌の加齢性変化と男女の違い Part 1〜」
以下に、黒(影)クマの特徴を表でまとめます。
図1は黒(影)クマの症例です。
黒(影)クマを根本的に解決する為には、医学的な治療が必要
黒(影)クマを解決するには、上記に示した3つの主原因にそれぞれに対して、適切な対処を行う必要がありますが、残念ながら、セルフケアや生活習慣で根本的に解決することはできません。その為、医学的なアプローチが必要となります。その方法は、①手術による治療と、②手術以外による治療に分けられます。
①手術による治療
1)下眼瞼除皺術(ハムラ法を含む)
下まつ毛の2mm程度下に、眼縁に沿って皮膚切開を加えます。黒クマの3大原因である、眼窩脂肪の前方突出、皮膚・眼輪筋のたるみ、目の下の凹みを同時に治療する術式で、中等度~重度の黒クマには最も効果的な治療法です。一方で、2週間程度、内出血を認める為、ダウンタイムが長い治療と言えます(図2)。
2)経結膜脱脂術
下まぶたの結膜側(下まぶたの裏側)からアプローチして、前方に押し出された眼窩脂肪を除去し、目の下の膨らみを改善する治療です。皮膚の表面に傷は残らず、抜糸も不要です。ダウンタイムが短く、軽度~中等度の黒クマに効果的です。
②手術以外による治療
1)脂肪溶解注射による突出した眼窩脂肪の改善
目の下の脂肪(眼窩脂肪)の突出を、メスを使わずに植物エキスを主成分とした溶剤(BNLSアルティメット)を直接脂肪組織に注射することによって、脂肪を除去する施術です。これまで、眼窩脂肪の除去は外科的手術以外に治療が難しいとされてきましたが、本治療の確立により、腫れなどのダウンタイムの心配がほとんどなく、小範囲かつ繊細な部分への施術が可能となりました。また、徐々に脂肪を減少させていくので、新たなシワやたるみを作りません。
2)高密度焦点式超音波(HIFU)による、弛んだ皮膚と眼輪筋の引き締め
皮膚の真皮層、脂肪層、眼輪筋の筋膜に対して、超音波による熱エネルギーを与えることで、皮膚のたるみを改善し、引き締めます。皮下の照射部位に集中的に熱エネルギーを与えることができるので、表面麻酔の必要はなく、肌の表面を傷つけることもありません。たるんだ筋膜のタイトニング、ヒートショックプロテインの産生、コラーゲン生成促進などが期待できます。
3)ヒアルロン酸による凹みの改善
目の下の凹みをヒアルロン酸で補う方法です。手術に比べてダウンタイム(腫れや内出血など)が少なく、短時間で治療できます。注入したヒアルロン酸は、6~12か月間、効果が持続し、最終的には体内に吸収されます。眼窩脂肪の前方突出が高度な方には、脂肪溶解注射と合わせた治療が必要です。
4)脂肪注入による凹みの改善
自身の太ももや下腹部から採取した脂肪を目の下に注入し、凹みを改善する治療です。自分の組織を使用するため、アレルギー反応や血管塞栓などの合併症がほとんど起こらず、脂肪が一度生着すると、長期間の効果が期待できます。ただし、注入された脂肪細胞は100%がそのまま生着する訳ではなく、その内の何割かは収縮・吸収してしまいます。その為、術後の脂肪吸収を想定して、施術時にわざとhigh volumeに注入することがあります。
■まとめ
- 眼の下のクマは、「黒(影)クマ」「茶クマ」「青(赤)クマ」の3種類に分けられる。
- 最も頻度が高いのは黒(影)クマだが、スキンケアや生活習慣の改善では、根本的な解決にはならない。
- 黒クマの3大原因は、①眼窩脂肪の前方突出、②皮膚・眼輪筋・眼窩隔膜のたるみ、③皮膚の段差である。
- 黒(影)クマの治療は、手術による治療と、手術以外による治療に分けられる。