顔のシワの種類は、その深さと成り立ちから、主に、①ちりめんジワ、②表情ジワ、③真皮のシワ(小ジワ&大ジワ)の3種類に分類されます。Part.1では①と②を説明したので、本稿では、③に関して説明します。
③真皮のシワ(図2c)
一般的に、鏡で自分の顔をみて、「シワができた」と意識するのはこのシワです。真皮のシワは真皮にある繊維組織(コラーゲンやエラスチンなど)が弾力を失い、変性することで生じます。
今までは元にもどっていた表情ジワが、徐々にもとに戻らなくなっていき、深いシワになっていきます。
真皮のシワは、その深さに応じて、主に、1)小ジワ、2)大ジワに分類されます。
真皮の組織(コラーゲン、エラスチン、基質)や各層(乳頭層、乳頭下層、網状層)に関しては以下のブログをご参照下さい。
1)小ジワ
まず、肌の”キメ”は表皮や真皮の変性を伴いません(図4)。
※美容皮膚科学(監修:日本美容皮膚科学会)を一部改変
それに対して、小ジワはキメと同じく真皮の乳頭下層まで陥凹を認めますが、乳頭層の菲薄化や欠如を伴います。なお、小ジワは、真皮の網状層には達していません。乳頭層は角質との結合組織層であるので、各層までのピーリングで小ジワを消せることがあるのは、その為です(図5)。
※美容皮膚科学(監修:日本美容皮膚科学会)を一部改変
小ジワは、キメを成す皮溝とは異なり、コラーゲンの変性や喪失を伴っている為、陥凹したままの状態を示します。
2)大ジワ
大ジワは、長年の負荷により、シワが真皮の乳頭層を超えて、網状層に達したものを指します(図6)。真皮の網状層にはコラーゲンやエラスチンが豊富に含まれていますが、それらの繊維の張力や柔軟性が失われた状態にあります。
※美容皮膚科学(監修:日本美容皮膚科学会)を一部改変
ここまで深くなってしまうと、ピーリングでは効果を認めません。その為、これらを改善するには、真皮の網状層まで達するレーザーや高周波、高密度超音波を用いるか、ヒアルロン酸で皮下のボリュームを増やすか、あるいは、手術で余剰な皮膚の切除やタイトニング(フェイスリフトなど)を行う方法があります。これらはいずれも医療機関での対応となります。
■まとめ
- 顔のシワの種類は、その深さと成り立ちから、①ちりめんジワ、②表情ジワ、③真皮のシワ(小ジワ&大ジワ)の3種類に分類される。
- ちりめんジワは表皮の保湿を行うことで、改善される。
- 表情ジワは年齢を重ねると深く刻まれ、真皮のシワへ移行する。フェイシャルエクササイズ(顔面体操)や過度なダイエットはシワを悪化させる原因となる。
- 真皮のシワは小ジワと大ジワに分類される。小ジワは真皮の乳頭層までに留まるため、ピーリングによる改善が見込まれる。
- 大ジワは大部分の乳頭層が欠如しており、網状層と直接接しているため、より専門的な治療が必要である。