■シワの種類
顔のシワの種類は、その深さと成り立ちから、主に、①ちりめんジワ、②表情ジワ、③真皮のシワ(小ジワ&大ジワ)の3種類に分類されます。このうち、鏡で自分の顔をみて、「シワができた」と意識するのは③真皮のシワです。
■真皮のシワの原因
シワの原因は様々ありますが、その中でも、特に影響が大きいものが3つあります。
- 加齢に伴うコラーゲンやエラスチンの減少(加齢性変化)
- 紫外線によるダメージ(光老化)
- 表情の豊かさ(表情ジワ)
1)加齢に伴うコラーゲンの低下(加齢性変化)
皮膚のコラーゲンの量は成人以降、毎年約1%ずつ減少していきます。そして、女性の場合は、20歳から40歳にかけて約21%減少し、40歳から60歳にかけて約25%減少しています。結果的に、80歳の頃には、20歳の頃の約26%しかコラーゲンがない状態になります。
一方で、男性の場合は、20歳から40歳にかけて約20%減少し、40歳から60歳にかけて約25%減少しています。結果的に、80歳の頃には、20歳の頃の約40%しかコラーゲンがない状態になります。
2)紫外線によるダメージ(光老化)
紫外線はコラーゲン繊維を硬く、変性させます。また、コラーゲンを分解する酵素を刺激するため、コラーゲンの量を減らします。その結果、皮膚の弾力や柔軟性を失い、かつ、真皮が薄くなるため、シワができやすい皮膚になります。
3)表情の豊かさ(表情ジワ)
表情の豊かな欧米人の方が、顔面のシワが深いことから分かるように、表情筋の動きにより生じる皮膚のシワ(表情ジワ)が、真皮のシワに移行することが原因となります。表情ジワで刻まれやすい3大部位は、眉間、おでこ、目尻です。
顔面のシワについて真面目に考える Part.1 ~シワの成り立ちと種類・治療~
■シワの測定方法
大別するとシワの測定方法には、皮膚を直接観察する方法と、いったんレプリカを作成し、その凹凸を測定する方法があります。
レプリカを介する場合、斜光証明によるレプリカ画像解析法やレプリカ三次元解析法があり、直接法には、顔画像からの直接測定法や三次元直接計測法があります。
市販の機器としては、レプリカ剤による誤差の影響を受けず、かつ非接触型で顔全体を撮影できるため、三次元直接計測法がよく用いられています。
実際、美容の医療機関では、V I S I A(ビジア)RやA N T E R A(アンテラ)3DRを用いて、皮膚を評価することがあります(図1)。
■皮膚のシワに関する男女の違い
Tsukahara(2013)らは、日本人の男女173人のすべての年齢層で、男性は女性に比べて額(おでこ)のシワが多いと報告しています。一方で、上瞼のシワに関しては、有意差を認めませんでした。
また例外として、最も高齢(65-75歳)の年齢層における顔のシワは女性の方が多く深かったようです。しかし、それ以外の年齢層ではすべて男性の方がシワは多いと報告しています。
また、Akiba(1999)らは、60歳以下を対象として、日光の暴露時間とシワの関係を調べ、紫外線の暴露時間が短いほど、シワが少ないと報告しました。
さらに、Liら(2014)は、女性の肌の方が男性よりも、滑らかであると報告しています。
■男性に多いシワの種類
男性に多いシワは、主に表情ジワと真皮のシワです。女性に比べて紫外線予防(スキンケア)への意識が乏しいため、紫外線によるコラーゲンへのダメージが大きいことも原因の1つです。
また、難しい顔やしかめっ面をする男性が多い一方で、女性は我慢強く、感情を表情に出しにくい為かもしれません。。。
一方で、若い頃から化粧の習慣がある女性は、化粧品成分(界面活性剤や合成ポリマーなど)により、角質のバリア機能が破壊されることで、乾燥肌の方が多いです。その為、男性よりもちりめんジワが目立つ場合が多いです。
■まとめ
- 男性は女性に比べてシワ(主に真皮のシワ)が目立ちやすい。
- 真皮のシワの主な原因は、①コラーゲンの加齢性変化、②光老化、③表情の豊かさである。
- 日光の暴露時間とシワの程度は正の相関関係がある。
- ちりめんジワは、肌が乾燥しやすい女性に多い。
- 肌のシワの解析は、三次元直接計測法がよく用いられている。